スポーツ選手の関節可動域を改善する方法


スポーツ選手を見ていると、競技にもよりますが、柔軟性が不足している選手がいます。

特に私が見ることが多いサッカー選手や昔見ていたラグビー選手などは硬い選手が多いです。

今回は柔軟性が不足した選手の関節可動域を簡単に改善する方法をご紹介します。

可動域を改善するためにまず必要なこと

まず、可動域が低下している原因を突き止めていきましょう。

主な制限の原因となるのは、以下の3つが多いです。

  • 筋肉の柔軟性低下
  • 筋膜の短縮
  • 関節の可動性低下

可動域低下が筋肉の柔軟性低下の場合

筋肉の柔軟性低下、すなわちストレッチ不足や疲労からくる筋肉の張りなどで筋肉が短縮して可動域が低下しているときの改善方法をご紹介します。

結論からいうと、ストレッチしながら最も突っ張っている部位を遠位方向に圧迫すると効果的です。

例:大胸筋の短縮

選手を横向きに寝かせて、上側の肩関節を水平伸展させると大胸筋がストレッチできます。

その状態で最も突っ張っている大胸筋の部位を触診で探して、ストレッチしながら圧迫することで局所的にストレッチがかけられます。

30秒くらいストレッチしながら最も突っ張っている部位を遠位方向に圧迫を加えます。

その後、再度肩の水平伸展を確認したり、肩を回してみて可動域が改善していることを確認します。

例:大腿四頭筋の短縮

大腿四頭筋の場合はうつ伏せに寝かせて膝を屈曲させて大腿四頭筋をストレッチします。その際に柔軟性が低下していると殿部と踵がくっつきません。

普通の人は殿部と踵がくっつくくらい膝が曲がります。

関節自体に問題がある場合は別ですが、大腿四頭筋の短縮によって可動域が低下している場合は、これもストレッチした状態で触診で最も突っ張ている部位を探して、ストレッチしながらその部位を圧迫します。

また、大腿四頭筋全体が突っ張っている場合は筋膜が短縮していることもあります。

可動域低下の原因が筋膜の場合

ストレッチしている筋肉が全体的に突っ張ている場合は、筋膜に対してアプローチします。

例:大腿前面の筋膜の短縮

ストレッチした状態でベッドと大腿前面の間に自分のこぶしを挟み、遠位方向にこぶしを数センチ回した状態でキープします。

大腿前面の筋膜を全体的に遠位に引っ張るイメージです。

これを股関節に近いあたりから、こぶしをずらしながら膝蓋骨直上あたりまでまんべんなく行うと、かなり大腿前面の柔軟性が向上して、殿部と踵の距離が近づくようになります。

可動域低下の原因が関節の可動性低下の場合

関節の副運動を出すことで可動域が簡単に改善することもあります。

例:仙腸関節の可動性低下

うつ伏せに寝た状態で股関節伸展の可動域低下がある場合、仙腸関節の可動性を出すことで改善します。

また、股関節を伸展させたときに腰部につまり感や痛みがある場合にも仙腸関節にアプローチすることで症状改善することが多いです。

PSIS(上後腸骨棘)と仙骨の間に指を当てて、外側に腸骨を動かすイメージでじっくり圧迫していきます。

実際に仙腸関節の可動性といっても数ミリ単位のものなので、動いたかどうか微妙な感覚です。

注意深く指先の感覚を研ぎ澄ましていると、全く動いていない仙腸関節と動いている仙腸関節が何となくわかってきます。

硬い仙腸関節にこのアプローチして、多少なりとも動く感覚が得られるとほとんどのケースで股関節の伸展可動域が改善し、腰部のつまり感や痛みも改善します。

例:距骨の可動性低下

足関節背屈が硬い場合、距骨の可動性が低下していることがあります。

この場合は触診で距骨の位置を確認し、距骨が脛骨より後方に滑るようにモビライゼーションを行うことで背屈が行きやすくなります。

ただ、距骨の動きは簡単には出ません

距腿関節に沿ったスカーティッシュや距骨後方のスカーティッシュが壁や障害物となり後方への滑りを止めていることもあります。

また、距骨の近くを通る下腿からつながっている筋や腱が癒着したり、硬くなって距骨の動きを止めていることもあります。

これらを一つ一つ硬さを取り、筋腱の柔軟性を出して動きを出すことで距骨の動きを妨げないようにして、距骨のモビライゼーションを行うとより効果が出やすいです。

まとめ

スポーツ選手の関節可動域を改善する方法をいくつか具体例を出して、ご紹介しました。

可動域低下の原因が筋肉なのか、筋膜なのか、関節の可動性なのか、まずは原因を追究して、適切なアプローチができるように評価とアプローチを繰り返して精度を上げるようにしましょう。

アプローチして可動域が改善したら、トレーナーも実感できますが、その選手が一番実感できると思います。

手を加えることで、何かしら選手に変化を起こせることも大事なスキルの一つかと思います。

もちろん、それだけでは不十分なこともありますが、選手の信頼を得るには有効なスキルであることは間違いありません。

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