サッカー選手に多い、股関節の詰まり。
今回はその詰まり感を改善する私が普段行っている方法をご紹介します。
つまりの原因
股関節が詰まる原因にはいろいろありますが、以下のものが挙げられます。
骨盤の後傾不足
股関節を屈曲させるときに、股関節の動きと同時に骨盤が後傾します。
骨盤が動くことで股関節を屈曲したときに詰まりを和らげてくれます。
鼡径部のスカーティッシュ
鼡径部は股関節を屈曲させたときにちょうど大腿骨と骨盤に挟まれる部分です。
ここにキック動作やスプリント動作の繰り返しで負担が普段からかかっているので、微小な炎症の繰り返しで瘢痕組織であるスカーティッシュが溜まってしまいます。
特にサッカー選手をはじめとしたキック動作を伴うスポーツには多く見られます。
鼡径部はグロインペインの原因となる部位でもあります。
ここにスカーティッシュが溜まってしまうと股関節の詰まりだけでなく、グロインペインにもつながっていくので、早め早めにスカーティッシュを取って、詰まりを改善しておく必要があります。
殿筋群の短縮
大殿筋、中殿筋、小殿筋、さらには深層外旋6筋を含めた殿筋群が短縮していると股関節後面に余裕がなくなり、屈曲していった際に大腿骨を引っ張ってしまい、屈曲を止めてしまいます。
さらに大転子の後方への滑りを止めてしまうので、前方で詰まり感が生じてしまいます。
大転子周辺の窮屈さ
殿筋群の短縮と似ていますが、大転子周囲にある筋肉や靭帯、軟部組織が硬いと大転子の動きを阻害してしまいます。
股関節は可動域が広いので、大転子もその角度に応じて動きます。
大転子に余裕がなく、動きが阻害されるとそれはやはり股関節の詰まりの原因となるのです。
坐骨の可動性不足
股関節が屈曲する際、必ず骨盤の後傾を伴います。
この骨盤後傾がすなわち坐骨の可動性に関わってきます。
骨盤が後傾すると坐骨が下方かつ前方に動きます。
そうすることで、股関節の後方に余裕を作ってくれるのです。
股関節の後方に余裕ができると屈曲した際に遊びができるので、詰まりがなくなります。
骨盤の後傾が起こらず、坐骨が動かなければ、股関節の後方に余裕がなくなり、前が詰まりやすくなるのです。
大内転筋の硬さ
大内転筋は少し股関節内旋気味に屈曲しに行った際に詰まる原因になる場合があります。
大内転筋は大腿骨の内側に広く付着部を有し、他の内転筋よりもわずかに後方に付着するので、大腿骨の内旋を制限すると考えられます。
そのため、大内転筋が硬くなり、大腿骨の内旋の動きが出にくくなると、わずかに外旋位のまま股関節屈曲して詰まり感が出てしまいます。
これを少しでも内旋方向へもっていきながら屈曲すると詰まり感は顕著です。
詰まり感を改善する方法
スカーティッシュの除去
まず行うのは鼡径部のスカーティッシュの除去です。
サッカー選手の場合、かなり硬くなって溜まってることが多いです。
ASISの内側から鼠経靭帯にかけて剥がすように取り除いていきます。
やられている本人は結構痛いですが、これをやった後はかなりスッキリします。
私も経験しましたが、とても痛いですが、屈曲時の詰まりはかなり改善されます。
特に上半身を使わずに下肢だけでキックを続けていると、どんどんスカーティッシュが溜まって、可動域が悪くなり、グロインペインの原因にもなります。
殿筋の柔軟性向上と大転子周囲へのアプローチ
次にアプローチするところは、殿筋群の柔軟性です。
後ろが硬いと大腿骨頭の後方への滑りと転がりが制限され、前方に余裕がなくなり詰まりが出ます。
基本的には仰向けで股関節屈曲させた状態で殿筋の硬い部位を探してダイレクトに圧迫してダイレクトストレッチをかけていきます。
同時に大転子周囲へもダイレクトストレッチを行うことで大転子周囲の余裕を出していきます。
これも前後での詰まり感の変化はかなり実感できます。
骨盤後傾方向への誘導(坐骨の可動性向上)
殿筋や大転子へのアプローチと同時に行うことが多いですが、坐骨へのアプローチも行い骨盤後傾を誘導していきます。
スカーティッシュと殿筋、大転子へのアプローチでたいていの詰まり感は改善することが多いですが、それでもまだ詰まり感がある場合は、坐骨の方まで攻めていきます。
屈曲する際に坐骨を指に引っ掛けて前方へ誘導します。
同様にASISを後方へ押し込んでいくこともあります。
骨盤後傾を誘導する前提として、仙腸関節の可動性を出しておくことも大事です。
大内転筋へのアプローチ
最後にそれでも詰まり感が取れない場合や、内旋しながらの屈曲で詰まりがより強くなる場合は、大内転筋へのアプローチを行います。
股関節屈曲・内旋へ少し誘導しながら、大内転筋と大内転筋の大腿骨付着部をイメージしてダイレクトストレッチを行います。
まとめ
いかがでしたか。
文章だけでイメージしにくいと思いますが、何となくこんなことをやってるよ、というのがわかればありがたいです。
将来的にはビジュアルでの方法も載せていければと思います。
基本的な考え方としては、筋肉それぞれが柔軟性を保ち、独立して機能すること。
と同時に各関節や骨が筋肉やスカーティッシュに邪魔されずに本来の動きを取り戻すということをコンセプトとして、アプローチしていきます。
あとは、選手の訴えやどの動作でどの部位に詰まり感などの症状が出るかというところから、運動学的分析を行い、アプローチしていきます。
そのうちの股関節屈曲時の詰まり感へのアプローチをご紹介しました。
参考になれば幸いです。
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