今回は、頸部痛を訴える選手を見て感じたことをまとめます。結論から言うと、首を動かすにも土台が大事というお話です。
首(頸部)の土台とは?
頸部の土台は何かというと、頸部の支柱である頸椎の下にあるものなので、胸椎になります。
胸椎は胸郭とセットで動くので胸椎と胸郭が頸部の土台になります。
頸部痛を訴えた選手は原因は省きますが、前屈したときと後屈したときに痛みがありました。
側屈や回旋は問題ありません。
このとき、土台の状態をちょっと変化させただけで、痛みが一瞬で緩和したのです。
柔軟で安定した土台が大事
土台の状態をどのように変化させたのかというと、土台である胸椎の屈曲と伸展を出してあげました。
どうも頸部の動きを見ていると、頸椎しか動いておらず、胸椎の動きが全くありませんでした。
なので、胸椎を少し動くように誘導したのです。
頸部が伸展するときには、胸椎も伸展方向へ。
頸部が屈曲するときには、胸椎も屈曲方向へ。
それぞれ誘導しました。
たったそれだけで、頸部の痛みのある部位に加わるストレスが軽減し、特に何もせずに痛みが一瞬で緩和したのです。
なぜ、痛みが緩和したのか?
では、なぜ一瞬で痛みが緩和したのかというと、胸椎を動かすことで頸椎が動かなければならない運動範囲を分担することができるからです。
例えば、合計10度屈曲しないといけないという条件の中で、頸椎だけが動くと頸椎で10度動く必要があります。
しかし、土台である胸椎がこのうち5度分動くことで頸椎が動く範囲も5度で済むのです。
したがって、動いていない胸椎の動きを誘導してあげることで、頸椎に加わるストレスが軽減されて痛みが緩和されたのです。
注意点
ただし、注意すべきことがあります。
これは痛みの部位に加わるストレスを軽減させただけであって、痛みの根本にアプローチはしていないということです。
今回の選手はそこに炎症があったので、この炎症を改善するような物理療法や治癒する時間が必要です。
この根本的な治療を忘れてはいけません。
根本的な治療と並行して、患部に加わるストレスが減少するようなアプローチも行うと、選手や患者さんも一時的でもその場で痛みが少し楽になったと感じることができます。
より信頼関係も深まりつつ、その後の治療もスムーズに進むようになるでしょう。
今回は胸椎の動きをメインに書きましたが、胸椎は動く余地があるのに胸郭が硬くて動かないという場合もあります。
その場合はもちろん胸郭の動きを出していく必要があります。
まとめ
首の土台は胸椎と胸郭。
頸椎にある痛みの部位に加わるストレスを減少させると痛みが一瞬で緩和させることができる。
ただし、根本的な治療も忘れないでくださいね。
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