ACL再建術をして競技復帰した選手の膝のケア

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膝のACLを再建し、先日競技復帰した選手の膝をよく触る機会があります。

この選手の膝をケアするときにチェックするポイントを紹介します。

ただ、全く同じ状態の膝の人はいないし、同じ選手でも日によって状態が違うこともあるので、参考程度に読んでもらえればと思います。

まず、膝を見るポイントの前に大事なことがあります。

それは、挨拶から始まり、雑談を交えながら今日の状態を聞くことです。本人の訴えがまずはじめに大事な情報です。その日、起きてから現在までに感じた膝の状態でなんとなくその日の膝の状態がイメージできます。それをもとに実際に以下のポイントをチェックしていきます。本人の訴えと実際にチェックしたことが一致しているのか、訴えの程度がどのくらいか、など確認をしながら、以下のポイントを見ていきます。

ポイント①:創部の皮膚の状態

まず、手術した傷口である創部やその周りの皮膚の状態をチェックします。左右差や昨日の状態との比較で滑走が悪かったり、硬さを感じたら、皮膚のストレッチを行います。

ポイント②:膝蓋骨や膝蓋下脂肪体の状態

膝蓋骨の動きや脂肪体の硬さをチェックします。膝蓋骨の動きが悪い場合は膝蓋骨のモビライゼーションを行ったり、膝蓋骨のまわりにスカーティッシュがあれば、それを取り除くようなアプローチを行います。

脂肪体が硬い場合は脂肪体を直接マッサージして柔軟性を改善させます。脂肪体の表面にある膝蓋腱は大腿四頭筋の腱なので、大腿四頭筋の柔軟性が低下して膝蓋腱を介して脂肪体が硬くなっている場合もあります。その場合は、大腿四頭筋の張りや柔軟性を確認し、大腿四頭筋へのアプローチを行います。

ポイント③:可動域

ポイント①と②は仰向けで寝た状態で行いますが、③からは実際に膝を曲げ伸ばししていきます。ちゃんと伸展するか、屈曲も最終域まで曲がるかどうかチェックします。今見ている選手は屈曲最終域につまり感が出ることが多く、若干可動域も低下していることが多いです。

つまり感や可動域低下があれば、そのつまり感の原因や可動域低下の要因に対してアプローチしていきます。具体的な方法は改めてまとめたいと思います。

さらに伸展に関しては、うつ伏せになってもらい、ベッドから下腿を出してもらい、踵の高さを左右で比較するHHD(Heel hight difference)をチェックします。この選手は現在、ほぼ左右差なく伸展が出ていますが、最初の方は、少し伸展制限がありました。この時の制限因子は関節というよりは腓腹筋の柔軟性低下でした。

腓腹筋は二関節筋で足関節と膝関節を跨いでいます。腓腹筋の近位をダイレクトストレッチで柔軟性を出してあげると伸展制限が簡単に改善するということが多かったです。

ポイント④:膝周囲筋の状態

膝周囲筋の状態ももちろんチェックします。ただ、これは可動域を見ながら同時にチェックすることが多いです。周囲筋の張りや硬さが可動域に影響していることが多いからです。脂肪体のところでもでてきた大腿四頭筋はもちろんのこと、大腿後面のハムストリングスや膝窩筋、腓腹筋、筋肉ではないですが、大腿外側の腸脛靭帯の張り具合も見ます。

特に屈曲可動域が低下している場合は屈曲最終域まで曲げたときに各筋を触ってみて、突っ張り具合で可動域低下に影響しているかどうかを見ています。例えば、屈曲最終域で大腿四頭筋の遠位部分の突っ張り感が強いと感じたときに、突っ張っている状態でその大腿四頭筋の遠位部分をダイレクトストレッチして、屈曲可動域のエンドフィールを再度チェックします。つまり感や可動域が少しでも行くようになれば、大腿四頭筋は可動域低下要因の一つであることがわかります。

当然のことですが、評価して、アプローチして、再評価するという一連の流れをひたすら繰り返します。これは、リハビリでも基本の流れですが、とても大事です。

今見ている選手に関しては以上の4つのポイントを中心にチェックしながら、ケアしています。日々見ている選手なので、だいたい状態が把握できているのでこれくらいですが、初めて見るような選手であればこれら以外でもチェックした方がいいうポイントがいくつかあります。

  • 大腿四頭筋の収縮の入り具合
  • 自動での膝屈伸
  • 膝屈曲/伸展の筋力
  • 下腿の回旋可動域
  • 痛みがあれば、痛みの細かい評価
  • 動作(スクワット動作や踏み込み動作、ジャンプ等)

普段のケアと初めてのチェック(評価)では見る項目やポイントも違うということは頭に入れておくとよいと思います。

参考になれば幸いです。

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