膝のつまり感や可動域低下対してアプローチする方法


前回の記事で膝のケアをするポイントの一つに可動域を挙げました。

今回は膝のつまり感や可動域低下を改善する方法をご紹介したいと思います。

この方法を参考にしてもらえれば、膝の構造的な問題がなければ、ほとんどの膝屈曲最終域のつまり感や可動域低下を改善できると思います。

膝のつまり感へのアプローチ

膝を怪我した選手や手術した選手の膝を屈曲していくと、最終域でつまり感を訴えることがあります。

このつまり感はいったい何が原因でしょうか。

考えられることはいくつかありますが、私が普段見ている選手で多いのは以下のようなものです。

  • 膝窩筋の張り
  • 腓腹筋の張り
  • ハムストリングスの張り
  • 脛骨大腿関節の遊びの不足
  • 脛腓関節の遊びの不足

膝窩筋の張り

まず、膝に何か症状がある場合にチェックしたいのが膝窩筋です。

ちょうど膝の裏のすぐ下のところについている筋肉ですが、膝に炎症があったりすると硬くなることが多いです。

膝窩筋を緩めることでつまり感が取れることがあります。

腓腹筋の張り

腓腹筋は膝と足関節をまたぐ二関節筋です。ちょうど膝の裏を通って内側と外側の2つの筋肉の頭が大腿骨についています。

腓腹筋だけが張ってつまり感となることはそんなに多くはないかもしれませんが、膝窩筋とともに張っていることは多い印象です。

下腿後面の筋肉の硬さがあれば腓腹筋の張りもチェックしましょう。

ハムストリングスの張り

ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)の下端も膝の裏を通ります。

つまりが外側にある場合は大腿二頭筋を、つまりが内側にあれば内側ハムストリングス(半腱様筋、半膜様筋)の張りをチェックしましょう。

膝の近くだけでなく、筋腹や近位の坐骨結節付近まで触ってみて硬さがあれば緩めます。

脛骨大腿関節の遊びの不足

膝を屈曲させていくと、大腿骨と脛骨が転がりながら滑る関節内副運動というものが必ず起こります。

この転がりと滑りは関節の遊び、別の言い方でJoint play(ジョイントプレイ)が不十分だと、屈曲が最後まで行きません。

したがって、脛骨の近位をしっかり把持して前後方向や回旋の動きを出してみて、十分な遊びがあるかどうかを確認しましょう。

特に脛骨の後方への遊びと内旋方向への遊びが重要です。

膝が屈曲していくときに脛骨は大腿骨に対して、後方に滑りながら内旋するので、まずはこれらの方向への関節の遊びを作るようにモビライゼーションをします。

脛腓関節の遊びの不足

脛骨大腿関節とともに脛腓関節の遊びも出しましょう。膝を屈曲していくと大腿後面と下腿後面が接触します。このときに脛腓関節の遊びが不足しているとうまく接触したときに脛腓間が広がらずに最終域まで曲がらないことがあります。

脛腓関節と同時に腓骨の動きも出していくと、屈曲時に大腿後面と下腿後面が接触したときに脛腓間が広がることで最終域まで到達しやすくなります。

これはつまり感と同時に可動域の改善も可能なので、ぜひ試してみてもらいたいポイントです。

可動域低下へのアプローチ

つまり感が取れると可動域もよくなることが多いですが、上記のつまり感以外でアプローチするポイントは以下の通りです。

  • 大腿前面の筋肉の柔軟性低下
  • 下腿前面の軟部組織の柔軟性低下
  • 膝蓋腱や膝蓋下脂肪体の柔軟性低下
  • 膝蓋骨の可動性低下

大腿前面の筋肉の柔軟性低下

まず確認するのが、大腿直筋の柔軟性です。二関節筋で股関節と膝関節をまたぐ筋肉で硬くなりやすい筋です。

そして中間広筋。中間広筋は大腿直筋より深い位置にあり、膝蓋骨の動きに影響しやすいので、大腿直筋にアプローチして変化がなければ中間広筋を疑います。

あとは膝を屈曲したときにツッパリ感がどこにあるか、を選手に聞いてそのツッパリ感があるところを直接アプローチして緩めてあげると可動域は上がりやすいです。

選手本人の訴えだけでなく、膝を屈曲して最終域までいったときに見た目や触った感じで最も突っ張っている部分を見極めてアプローチすると簡単に可動域が上がることが多いです。

下腿前面の軟部組織の柔軟性低下

膝の屈曲可動域低下の要因として大腿四頭筋の柔軟性はよく言われますが、意外と下腿前面の軟部組織も影響していることが時々あります。

選手によっては前脛骨筋がパンパンに張っていたり、下腿前面の皮膚がパツパツの場合があります。

前脛骨筋を含め下腿前面の皮膚を膝の方向へリリースしてあげると膝の屈曲が楽に可能になる場合があります。

余談ですが、ジャンパーズニーと呼ばれる膝蓋腱炎は大腿四頭筋の柔軟性低下が原因だと教科書に載っていることが多いですが、意外と大腿四頭筋の柔軟性が問題ない場合が結構あります。

そういう場合に下腿前面の軟部組織にアプローチすると痛みが改善するとことがあります。膝蓋腱は上の大腿四頭筋から引っ張られることもありますが、実は下の下腿前面からも引っ張られていることも忘れてはいけません。

大腿四頭筋の柔軟性に問題なければ、膝の下にも目を向けてみましょう。

膝蓋腱や膝蓋下脂肪体の柔軟性低下

これは多くないかもしれませんが、膝屈曲最終域で膝蓋腱のところが突っ張る感じがあれば、アプローチしてみる価値はあると思います。

膝蓋腱や脂肪体は手術して傷や炎症が過去にあれば、硬くなりやすいですが、大腿四頭筋の腱なので、大腿四頭筋の影響を受けやすいので、大腿四頭筋と同時にチェックしましょう。

膝伸展位でマッサージして緩めることもありますが、屈曲最終域でテンションを高くした状態でダイレクトに圧迫してストレッチすることも効果的です。

膝蓋骨の可動性低下

膝が屈曲するときに脛骨大腿関節だけでなく、膝蓋骨も動く必要があります。

膝蓋骨の可動性を左右で比較したり、大腿四頭筋や膝蓋腱の柔軟性を見るときに同時にチェックするようにしましょう。

評価とアプローチを繰り返す

つまり感や可動域低下についてポイントを上記に挙げましたが、同時にすべてチェックしてアプローチしてもよいのですが、一つ一つチェックして、これかな?と思うポイントがあれば、アプローチしてすぐに屈曲してつまり感や可動域が変化するかどうか、確認(評価)しましょう。

そうすることでつまり感の原因や可動域低下の原因がわかります。

ただ、それらの原因が一つだけということはないので、いくつかアプローチしていきながら、最終的にはつまり感や可動域がフルで出るように持っていけたら一番いいですね。

評価と治療は繰り返し行うことで、その原因にたどり着くスピードも早くなります。

今、何にアプローチしているのか、を明確にして、効果判定するという作業を繰り返し行いましょう。

少しでもお役に立てれば幸いです。

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